ビッグモーター不祥事一覧わかりやすくまとめ|報道されない理由も

2023年7月14日、中古車販売大手・株式会社ビッグモーターが大手損害保険会社3社に対して、少なくとも1千件以上の保険金不正請求を働いていたことが判明しました。

しかも、上司からの指示に従い、修理担当の従業員の約4割が不正に加担していた。
理不尽な降格人事も横行していたという。


保険金の不正受給という一大事件でありながら、今まで週刊誌の噂ベースで囁かれることはあっても、大々的にメディアで報じられることはほとんどなかったこの問題。


今回は、株式会社ビッグモーターが2016年から起こしてきた不祥事の一覧と、これまでメディアで報道されてこなかった驚きの理由について調べてまとめました。


「メディアの忖度じゃないか」という声もありましたが、本質は意外な部分に隠されていました


ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

目次

ビッグモーター不祥事一覧まとめ

2016年12月 従業員間での「罰金制度」

引用:産経ニュース

ビッグモーターに関する驚くべき❝社内ルール❞が発覚したのは、今から8年前のことでした。

会社が定める自動車保険契約の月間目標に到達できなかった店舗の店長が、目標に到達した店舗の店長に現金を支払わせていたことが判明したのです。


簡単に言えば、

「ノルマを達成できなかった店長が、達成した店長に身銭をきって(自己負担で)現金を支払う」罰金制度。

一個人当たりの上限は10万円で、従業員数が多く目標達成が厳しい店舗では、毎月のように店長が自己負担で罰金を支払っていたといいます。


不適切な罰金制度との指摘を受けて、同年12月にこの制度は廃止されていますが、少なくとも2011年頃からこういった慣行は存在していたようです。

これについて、当初会社側は「一切強制していないので違法性はないと認識している」とコメント


引用:ビッグモーター(BIGMOTOR)

しかし、のちにビッグモーター社長の兼重宏行氏が指示していた可能性があることが発覚しました。

昨年6月に全社員宛てに送られた兼重社長名での社内メールでは、「保険選手権大会に関して」とのタイトルで
「罰金を払うということは、店長としての仕事をしてないということだ!」
「罰金を払い続けて、店長として(中略)恥ずかしくないか!」
などと記載されていた。
引用:産経新聞

ビッグモーター兼重宏行社長が私腹を肥やして建てた28億円の噴水付き大豪邸とは

2021年6月 タイヤを意図的にパンクさせる動画が流出

動画に写っていたのは、熊本浜線店で勤務していたという当時の工場長。

お客さんから預かった車をいかに自然に見せかけてパンクさせるかレクチャーするというとんでもない映像でした。

もちろんパンクの目的は工賃を請求するため


保険会社は日々膨大な量の事故車両や保険金の支払い案件を抱えているため、すべての車両について現地に足を運んで見に行くことができません。

そこで損傷の程度を写真で確認する「写真査定」という手法をとることが多々あります。

実際に車を確認される心配がないその方法を悪用して、❝それっぽく❞写真を撮り、保険金を水増し請求する手段が常套化していたようです。



2021年秋 保険金の水増し請求が発覚

「上長の指示で過剰な自動車の修理をし、その費用を保険会社に請求している」

今回問題のひとつにもなっている保険金の水増し請求が最初に表面化したきっかけは、ビッグモーター社員の内部通報がきっかけでした。

良心の呵責に耐えかね苦しんでいる従業員の方もいたのでしょうね


ビッグモーターというと中古車販売業の印象が強いと思いますが、

・自動車保険の代理店事業(車を販売したお客さんに保険契約を勧めて締結する)
・自動車修理などの板金事業(破損した車の修理や車検など)

なども担っています。


上記の内部通報を受けて、損保大手3社(損害保険ジャパン・三井住友海上・東京海上日動)が調査に乗り出しました。


各3社が数百件ずつランダムにサンプルを抽出して調査したところ、全国33の整備工場のうち25の工場で、80件以上の保険金水増し請求疑義事案が見つかったのです。
参考:東洋経済オンライン


なかには、

・損傷のない車両のパネル部分に板金塗装を実施
・中古部品を新品と称して付け替える

などの悪質なケースも。


なお、この時点で大手損保3社が厳しい対応をとらなかったのは、ビッグモーターが自動車保険の契約を各社数十億売ってくれる「大型代理店」という立場にあったこと、影響力の大きなビジネスパートナーであったことが影響しているのかもしれません。



2022年2月~ 不正車検等で行政処分

2022年2月には、滋賀県びわ湖守山店で、不正改造などを理由に近畿運輸局から事業停止処分が下されました。

不正改造の詳細はふめいですが、事業停止処分とは相当なことをしているはず


また、翌年2023年に入ってからも

・2023年2月 佐賀県の唐津店
・2023年3月 熊本県の熊本浜線店

も車検の不正を理由として、九州運輸局から民間車検場の指定取り消し処分を受けるなど次々と不正が明らかになっていきました。

※追記※

その後、兼重宏行社長が社員宛に送ったLINEが公開されました。

それがこちら

流出したこのLINEが本物だとすれば、そもそもこうした社内情報が簡単に外に漏れ出てしまうこと、社内の誰かに画像を流出される=社員との信頼関係が成り立っていないことが既に問題だと思います。

全社員の2%が不祥事を働いている会社って普通にありえないと思いますが...


2023年7月 2度目の保険金水増し請求が発覚

そして2023年7月。
今回の騒動に至る、2度目の保険金水増し請求が発覚しました。

今回も、前回と同様大手損保3社がサンプルを抽出して被害実態を調査したところ、なんと全体の4割を超える事案で保険金の水増し請求が行われている可能性があることが発覚しました。


そしてさらに調査を進めていくと、

・修理担当者の4割以上が不正に関与していたこと
・上司の指示で不正したと6割以上が証言していたこと
・報告書の不利益な内容を隠ぺいしていたこと
・資格を持たない未経験者に、見よう見まねで作業させていたこと

など次々と問題が発覚する事態になりました。

前回は結果として深く追及されることはなかった同問題ですが、さすがに見過ごせなくなった損保各社は、ビッグモーターに対して「不正に得た利益の返還請求」を求める事態に発展しました。


メディアで報道されない理由も

不祥事発覚は初めてではない

過去のビッグモーターの不祥事一覧を時系列で振り返ってみると、実は今から8年も前に最初の「不祥事疑惑」が発覚していたことがわかります。

しかし、今回の騒動で表面化するまで、「正直全然知らなかった」「普通に利用していた」という方も多いのではないでしょうか。

メディアでも大きく扱われることは殆どなかったように思います


実は、そこには「忖度」とは性質の違う、「マスコミ報道の原則」が関係していました。


報道の原則

ビッグモーターの不祥事疑惑をこれまでマスコミが報じることができなかった理由は、

「ビッグモーターが完全黙秘を貫いていたから」

だと言えます。


どういうことかというと、マスコミは「自社の取材で、事実と確認できたこと」しか報じることができません。


2023年3月までに起きた一連の不祥事疑惑について、ビッグモーターは組織としての関与を一切否定しています。
そして、正式な謝罪コメントも一度も出したことがありません。

「正式な謝罪コメントがない」=「ビッグモータは一連の疑惑について事実と認めていない」ということになります。

そうなると、メディア側としても当事者が事実と認めていない内容を、大々的に報道することは難しくなるわけです。


そこまで考えてビッグモーター側が対応しているのだとしたら、なおさら組織としての闇が深いですね…

非上場であることの強み

また、ビッグモーター側が「完全黙秘」を貫ける大きな要因として、「非上場企業であること」が挙げられます。

株式公開して上場している企業であれば、当然株主に対して説明責任がありますし、株主総会で経営陣が問い詰められるようなこともあるでしょう。

しかし、非上場企業であるがゆえに、「説明責任を果たす機会をうまく逃れてきた」ともいえるのです。

しかし、今回の一件で「その強み」も崩れることになりそうです。


というのも、大手損保3社が、不正に得た利益の返還請求を求めている以上、ビッグモーター側は事実を調査・把握し、返還請求に応じる必要が出てきてしまったから。


不正が明るみになってしまった以上、近いうちに「謝罪コメント」が掲載される日も近いのではないでしょうか。


ビッグモーターは上場廃止で潰れる?


まとめ

今回は、株式会社ビッグモーターが2016年から起こしてきた不祥事の一覧と、これまでメディアで報道されてこなかった驚きの理由について調べてまとめました。


保険金請求の水増し大規模な組織的関与の疑いが表面化し、窮地に追い込まれている株式会社ビッグモーター。

同社の兼重宏行社長は1年分の報酬を返金することを公表しましたが、それで事態が収束するとは思えません。

場当たり的な対応ではなく、今後の組織の体制改善に繋がる具体的な対策を、いち早く実現していってもらいたいものです。


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